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Council for Sports Ecosystem Promorion

2024年04⽉10⽇記事 / コラム

第4回:米国における違法な賭博と合法なスポーツベッティングの分かれ目(その1)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、第4回は、アメリカにおける違法な賭博と合法なスポーツベッティングのどこに分かれ目があるのかを取り上げます。


本連載第2回で取り上げたとおり、アメリカではスポーツベッティングを合法とする州が38州とワシントンDC、今も違法とする州がカリフォルニア州など12州あります。

違法と合法の分かれ目は、実は「その人物が賭けを行った時点で、物理的にどの州にいたか」にあります。ここからはパターン別に見ていきましょう。


まず、違法州でスポーツを対象にした賭けをした場合です。これはその州の刑法等に違反したことになり、問答無用で即アウトです。たとえ普段合法州に住んでいても、違法州に来て賭けたらアウトです。

そもそも、違法州で事業展開しているスポーツベッティング業者はもれなく違法業者ですから、違法業者のサービスを利用した賭け行為は、ふだんどこに住んでいるかとは無関係に当然に違法です。

次に合法州で賭けをした場合です。スポーツベッティングの事業を合法的に展開するには、サービスを提供する州が合法州であることだけでなく、州からライセンスを取得している必要があります。

ライセンスを持った事業者のサービスを、その州内で利用して賭けるのであれば、その利用者がその州に普段住んでいようがいまいが関係ありません。普段違法州に住んでいてもセーフです。ちなみに、決済口座も違法州にあろうが合法州にあろうが、どこにあるかは関係ありません。しかし、合法州であってもノーライセンスの業者で賭けたら、だれでも即アウトです。


最近の報道では、大谷翔平選手の元通訳の方の行為が取り沙汰されていますが、以上を前提としますと、元勤務先であるロサンゼルス・ドジャースはカリフォルニア州を本拠地にしていることから、元通訳の方が違法州であるカリフォルニア州においてスポーツを対象とした賭け行為を行っていたのであれば、「(物理的に)違法州で賭けを行った」という点で違法という整理となります(仮に合法州のスポーツベッティングサービスをオンラインで何らかの方法で利用していた場合や決済口座が合法州にあった場合でも結論に影響はありません。)。


次回はインターネットなどで賭ける場合を取り上げます。



参考資料: 平尾覚=稲垣弘則=北住敏樹「諸外国におけるスポーツくじ・スポーツベッティング関連法規制の動向① - 米国(上)-」(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 スポーツビジネス・ロー ニューズレター2024年4月1日号)