第5回:米国における違法な賭博と合法なスポーツベッティングの分かれ目(その2)
スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、第5回は、アメリカにおける違法な賭博と合法なスポーツベッティングのどこに分かれ目があるのかの第二弾として、インターネットで賭ける場合の前編を取り上げます。
インターネットはいとも簡単に州や国を飛び越えることができてしまいます。しかし、アメリカの連邦法は、インターネットで州を超えて「賭け」をしたり、スポーツベッティングに関する情報を取得することを禁止しているのです。
例を挙げて見ていきましょう。まず、普段違法州に住んでいる人の場合です。
普段違法州に住んでいる人が、州内の自宅からスマホやPCで州内の事業者のオンラインサービスを利用して賭けた場合はどうでしょう。これは当然アウトです。違法州ですから違法州内のオンライン業者は当然に違法業者だからです。別の違法州のオンラインサービスを利用して賭けるのも同じ理由でアウトです。
それでは、普段違法州にいる人が、自宅から合法州の正規ライセンスを持った事業者のオンラインサービスを利用して賭けた場合はどうでしょうか。実はこれはアウトなのです。
前回の第4回コラムでも書きましたが、普段違法州に住んでいる人でも、合法州に移動して、合法州内でその州の正規ライセンスを持った事業者を利用して賭ける場合はセーフでした。この、「賭けた本人の体がどこにあったか」の原則は、オンラインであっても適用されるのです。
従って、普段違法州に住んでいる人でも、たとえば合法州内のネットカフェからその州内の正規のライセンスを持った事業者のオンラインサービスを利用して賭ける場合はセーフ、ノーライセンスの事業者のオンラインサービスを利用したらアウトです。
さて、それでは普段違法州に住んでいる人が、合法州内から別の合法州内の正規のライセンスを持った事業者を利用した場合はどうなると思いますか。
例えば、普段違法州であるカリフォルニア州に住んでいる人が、合法州であるニューヨーク州内のネットカフェから、別の合法州であるネバダ州の正規ライセンスを持った事業者のサービスを利用した場合を想定してみてください。
実はこれもアウト。インターネットで州をまたぐ賭けは、とにかく「ご法度」なのです。
次回はインターネットで賭ける場合の後編をお送りします。