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Council for Sports Ecosystem Promorion

2024年05⽉28⽇記事 / コラム

第9回:日本で海外のスポーツベッティングサービスを利用する行為の適法性(その1)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、前回は日本がスポーツ賭博に対し厳しい対応をとってきたというのに、それでもなお、日本のプロスポーツがいま、世界中から賭けの対象とされている現状について取り上げました。

第9回目となる今回からは、海外のオンラインスポーツベッティングサイトが、日本人向けにどのようなサービスを提供しているのか。そしてその行為の違法性について、3回に渡って取り上げます。


繰り返しになりますが、日本人が日本から海外のオンラインベッティングサイトにインターネットでアクセスし、賭けをすることは、刑法上の賭博罪(刑法185条)に該当します。50万円以下の罰金又は科料という罰則規定もあります。

しかし、違法事業者のサイトや法律解釈を誤解している解説サイト等では、適法であって賭博罪に問われることはないという説明をしています。

そのパターンは概ね2通り。1つは、海外のスポーツベッティング合法国でライセンスを取得した事業者によるサービスだから大丈夫だ、というもの。もう1つは、賭博罪は「必要的共犯」であり、事業者が合法国で処罰対象にならないのだから、日本国内からサイトを利用する人にも賭博罪は成立しない、つまりグレーだけれど黒じゃない、というものです。


どちらも誤った解釈です。まず、1つめの合法国のライセンスを持っている事業者だから大丈夫という説明ですが、賭博罪はいわゆる「国内犯」です。国内で行われた賭博行為が処罰の対象になります。

従って、日本人が米国ラスベガスに旅行に行って現地のカジノで賭けをしたり、米国のスポーツベッティング合法州に行って、現地の州内でライセンスを取得しているスポーツベッティング事業者のサービスを利用しても、日本の刑法で処罰されることはありません。


なお、第6回で詳しく説明した通りで、行った先の合法州内(例えば米国ラスベガス)のライセンス取得事業者のサービスを利用することは合法ですが、行った先とは別の合法州のライセンス取得事業者のサイトにアクセスしてサービスを利用したらアウトです。

それと同じで、アクセス先が合法州のライセンス取得事業者のサイトであっても、日本からアクセスしたら、日本で賭博行為を行ったことになり、刑法上の賭博罪が成立するのです。


次回は2つめの「必要的共犯」という専門用語を使った説明がどう間違っているのか、解説します。