一般財団法人スポーツエコシステム推進協議会（C-SEP）は、2025年11月11日から13日にアラブ首長国連邦・アブダビで開催されたINTERPOLの定期会合（IMFTF）に稲垣代表理事と国際委員会の岩城委員長が招待され、現地参加しました。
本会合には約90か国から500名以上の専門家が集まり、政府、法執行機関、スポーツ団体、民間事業者が一堂に会する、世界最大規模の多国間協力フォーラムとなりました。

INTERPOL国際会議（現地）

今回のアブダビ会合は、
・国際的な汚職・資産回収
・スポーツ競技の不正操作（マッチフィクシング）対策
を同時に扱うINTERPOL 主導の国際フォーラムです。

開催概要は次の通りです。
● INTERPOL Global Conference on Anti-Corruption and Asset Recovery
国境を越えた汚職・マネーロンダリング・組織犯罪への対処強化
各国の資産回収のメカニズムの改善と協力枠組みの再構築
各国の規制機関・警察機関・国際機関間の情報共有・捜査協力の強化

● 15th INTERPOL Match Fixing Task Force Annual Meeting
マッチフィクシング対策の連携強化
違法賭博市場と犯罪組織の関係性解明
スポーツ団体・法執行機関・民間事業者の協力モデル構築
新たに拡大するeスポーツ領域の不正・違法賭博への対応

● Integrity in Sport Workshop（INTERPOL × IOC）共同ワークショップ
各国のNOC（国内五輪委員会）と法執行機関の連携強化
違法賭博や競技の不正操作について、各組織の役割を整理
実際のケースを基に、予防／調査／連携のプロセスを学ぶプログラム
IOC × INTERPOLの国際能力構築プログラムの一環として実施

初日は、INTERPOL Global Conference on Anti-Corruption and Asset Recoveryに終日出席しました。

▼ 主な議題
会議では、各国の規制機関、国際スポーツ団体、民間インテグリティ組織から、最新トレンド・事例が発表されました。
・IOCによる競技操作防止の最新動向
・欧州評議会（CoE）、マコリン条約の最新情報
・UEFA・ICC・CONMEBOL 等による地域別の不正対策
・eスポーツにおけるマッチフィクシング対策
・AIを用いた違法賭博検知の高度化（Sportradar）
・UNODCが示すスポーツ犯罪の国際構造

さらに、スポーツ団体の役割や、ベッティング規制の在り方をめぐるパネルディスカッションが行われました。

2日目は、IOCとINTERPOLの共同ワークショップに参加しました。

▼ 主な内容
・スポーツが犯罪組織に狙われる構造的理由
・国際協力におけるステークホルダーの役割
・実際の不正事例を基にしたケーススタディ
・各国代表者が参加するグループワーク（シナリオ分析）

とくに、「なぜスポーツが国際犯罪の標的になるのか」については、
違法賭博市場の巨大さ（年間1.7兆ドル規模）、匿名性、規制の弱さ、アスリートの脆弱性など、6つの要因が体系的に説明されました。

3日目は、Anti-Corruption and Asset Recovery Conference が開催され、
汚職、マネーロンダリング、環境犯罪、組織犯罪など、国家横断的な問題が議論されました。

▼ 強調されたポイント
・国家制度改革・監督機関の強化の重要性
・INTERPOLの “Silver Notice” を活用した国際的な犯罪資産追跡
・OECD、UNODC、FATF など多機関連携の必要性

これらはスポーツ領域と密接に関連しており、不正と資金流通が結びつく実態が示されました。

■ C-SEPの参加意義
今回のアブダビ会合への参加によって、世界各国の法執行機関・規制当局・スポーツ団体との直接的な関係構築が進みました。
日本におけるスポーツの不正操作対策の強化のために、国際事例・最新技術・法執行連携の知見を日本国内に還元し、スポーツの公平・公正性確保に貢献してまいります。